2026/2/17
「天然食材」こその落とし穴。なぜ今、大手バイヤーはFSSC22000認証を「重要条件」にするのか?
今回お伝えするのは、食品バイヤーにとって最も重要と言っても過言ではない「安全・安心」の話です。
近年、大手外食チェーンや食品メーカーの間で、新規取引の条件として「FSSC22000(または同等の国際規格)の取得」を必須とするケースが急増しています。 なぜ、そこまで厳格な基準が求められるのでしょうか?
それは、ふかひれが工場で規格生産される工業製品ではなく、「天然の水産物」だからこそ潜むリスクがあるからです。 今回は、リスク管理の観点から、認証工場を選ぶメリットについて解説します。
1、 天然&乾物だからこそある「異物混入」のリスク
ふかひれは、大海原を泳ぐさめを原料とし、乾燥という工程を経て作られます。 このプロセスには、一般的な加工食品とは異なるリスクが潜んでいます。
天然由来の異物: 釣り針や、海中の浮遊物などが付着している可能性。
加工中のリスク: 伝統的な天日干し等の場合、砂埃や虫などが混入するリスク。
「高級食材」であるふかひれにおいて、万が一異物が混入し、お客様の口に入ってしまえば、ブランドイメージへのダメージは計り知れません。 だからこそ、「人の経験や勘」だけに頼らない、システム化された管理体制が必要不可欠なのです。
福寿水産では、HACCPに基づく衛生管理をさらに進化させ、ISO22000(マネジメントシステム)とISO/TS 22002-1(具体的な前提条件プログラム)を組み合わせたFSSC22000を本浜工場で運用。現場の隅々までルール化することで、気仙沼のふかひれブランドを守っています。

2、 品質保証部を説得する「パスポート」としてのFSSC22000
バイヤーのみなさまが新規食材を採用する際、ひとつのハードルとなるのが「品質保証部(または品質管理室)」による監査ではないでしょうか。
「この加工業者は衛生管理ができているのか?」 「HACCP(ハサップ)に沿った運用はされているか?」
厳しいチェックリストをクリアし、契約にこぎつけるまでには多くの労力と時間がかかります。 ここで強力な武器になるのが、「FSSC22000認証工場である」という事実です。
FSSC22000は、世界的な食品安全スキーム(GFSI)に承認された国際規格です。
「第三者機関によって、世界標準の安全管理システムが運用されていると認められている」
この事実は、社内の品質管理担当者を納得させ、取引開始までのプロセスをスムーズにするための最強のパスポートとなります。

3. 「悪意」を未然に防ぐ。フードディフェンス(食品防御)の壁
近年の食の安全において、重要視されているのが、「フードディフェンス(食品防御)」です。これは、人為的な異物の混入や、悪意ある工作を未然に防ぐための取り組みです。
一般的なHACCPが「工程上の事故」を防ぐのに対し、FSSC22000では「意図的な汚染」に対する厳格な対策が求められます。福寿水産では、以下の取り組みを含む「食品防御計画」を策定し、施設管理を徹底しています。
徹底したセキュリティ: 監視カメラによる24時間の記録と、入退室管理の厳格化。関係者以外の立ち入りを物理的に制限します。
施設管理マニュアルの運用: 原料の保管場所から出荷口まで、隙のない管理体制を構築。
食品偽装対策: 組織全体で品質を担保する相互チェック体制を徹底することで、意図せぬ混入や不備を防ぎます。
「何かあった時」の対応だけでなく、「何も起きない環境」を仕組みで作る。この姿勢が、企業の危機管理能力として高く評価されています。
4. 福寿水産のスタイル。「伝統の技」×「最新の衛生管理」
これまでの記事でご紹介した通り、私たちは「手作業」や「職人の目利き」を大切にしています。 しかし、それは衛生管理をおろそかにすることとは同義ではありません。
ゾーニング(区分け)の徹底: 汚染区域と清潔区域を物理的に分け、交差汚染を防ぐ。
金属探知機・X線検査: 人の目では見逃す微細な異物を確実に排除する。
参考)
一般財団法人 日本品質保証機構 (JQA)|FSSC 22000(食品安全)
農林水産省|「食品トレーサビリティ」



